中島美嘉を聴いてみた

2013/02/03 12:12

中島美嘉の「初恋」のCDを買って聞いて見た。
愛情を持ちながらも別れていく欠落感がよく伝わっていい曲だが、
それ以上にPVの中島美嘉は美しい。
外国人の歌手にはない、今にも壊れそうなはかなさを持っている。

実際、中島美嘉は体重が39kgしかなく、しかも耳管開放症を煩って
歌手生命自体が危ぶまれているし、生で歌っていると
声も音程も昔のような安定感、透明感はもうない。
録音されたものは、いくらでも調整がきくのだろうが、
むしろ生真面目さ、責任感からあえて人前で歌っている感じがする。
レコード会社のプロモーションに対するプレッシャーは相当強いだろう。
しかし、その生真面目さがかえってストレスになって症状を悪化
させているのではないだろうか。
拒食症に近い体重減少、耳の病気、ストレスの高まり、更に症状悪化
という負のスパイラルに入らなければいいが、心と体を悪化
させるタイプの人はそのサイクルそのものを断ち切れない。
自覚できるくらいなら、そうならないだろうが。

非常に不安定な精神状態を持った女性が増えている感じがする。
確かに女性は、経済的自由度が増し、結婚しないことに対する
社会の目も寛容になり、好きなように暮らせる環境になってきた。
しかし、その自由さが女性が保護されてきた部分をはぎ取って、
個人としての女性の存在を丸裸のまま、社会に放り出している
のではないだろうか。

勝ち組、負け組というが勝ちパターン、負けパターンも多種多様である。
幸せな結婚という勝ち方だけに限らず、社会的、経済的に成功している
女性も多い。
その昔、性というのは女性にとっては、結婚という社会的、経済的な
安定を得るための大きな武器であったことがあるが、今や性はデフレ化し
お金で簡単に買える時代になってしまっている。
非婚化、少子化の本当の理由は、この性のデフレ化にあると思っている。
多少のお金さえ支払えば性的な満足が得られるとか、付き合っても
性的なハードルが低く、飽きればすぐに別れればいいとうなら、
結婚する必然性は薄くなる。
本当に結婚したいという精神的な繋がりがなければ、結婚というハードルは
越えられないだろうし、生活を共にすることによる経済的、家庭内の役割分担
という必然的な絆が無ければ、精神的な繋がりでさえ、疲弊していく。
(恋愛的な感情を長く持ち続けられる人はほんとに幸せだと思う)

結果的に、女性は結婚という防護柵を失って(あるいは放棄して)、
実家という閉鎖社会に閉じこもるか、社会で漂流することになる。

情報技術の発展は、人から単純な事務作業を奪い、もともと女性の職業的な
受け皿だった事務職というものを不要にしている。
単身女性の増加という供給圧力と、IT化による単純事務労働の減少という
需給バランスの崩れは貧困女性の増加化という状況をますます加速させてい
くだろう。

今やAV女優希望者や高級風俗店では希望者の1/10しか採用されない
時代であるらしい。(研究レポートがあります)
性のデフレ化は、女性そのもの固有価値を低下させ、個人間の競争による
優勝劣敗の中に身を置かざるを得なくなっている。
女性は自由を獲得したが、その代償として、勝ち組と負け組の明確な格差を
生み出している。
(周りの勝ち組はパートナーが居て(結婚とは限らない)、
子どもがいて、克つ自分の職業で管理職クラスになって、個人の経済的自由
も獲得している。負けパターンは結婚もせず、子ども居ず、安定した職業
すら持っていない。その間には色々なパターンがある)

こういう状況に対して自己防衛しようと思えば、女性は自分の才能を磨き、
職業人として自立するか、やはり結婚を通じて、男性と生活リスクを分担し、
協力して生活形成していくしかない。
やはり、失恋しようが、心が不安定だろうが、それはともかくまずは職業と
それに付随する経済的基盤がしっかりしなければ何も組み立てようもない。

生涯非婚率が高まる中、単身で生活する人は増加するが、
単身生活の最大の問題は、すべての生活リスクを自分一人で背負うしかない
という点である。
病気、事故、失職あらゆるリスクが、貯蓄すらない単身女性にのしかかる。

宗教やイデオロギーに価値観を見いだせない日本人は、
自分にとっての幸福の尺度をしっかり持っておかないと、
たちまち自分を見失う。
客観的な状況の中で、精神的につぶれていく人は往々にして、
自分の目的が不明確である。
自分の側に強い目的意識がないと、主体的に環境を変えていこうという
方向性すら見いだせず、周りに過剰適応することで、自分自身が破綻する
というサイクルにはまっていく。
実際、精神的に破綻を来す人は、真面目ではあるが、主体性に弱い傾向がある。

余談ですが、学校教育に必要なのは、そういう自分自身を見失わない哲学的背景を
自分オリジナルで作る能力を付けることと、社会とうまく折り合いを
付けていくための技術ではないだろうか。

何をやっても自由な世の中だからこそ、
こうなりたいという情熱と、それを実現させていく構想力と辛抱強さが
一人一人に求められている。

一流企業の社員がリストラで一瞬にして、ホームレスになる時代である。
その中で、母子家庭を含めて、女性を貧困化させないためには、
少々厳しくても、一人一人を職業人として鍛えていくしかない。
(政治家ではないから社会は変えられません)
反発されようが、嫌われようが、それが大人の責任というものだと、
まぁ、分かってくれる人だけがついて来てくれればいいことですが‥。

中島美嘉は経済的には十分成功しているだろうが、
スターらしくない生真面目さが、自分を苦しめているのではないだろうか。

貴重なアーティストだからこそ、こんな馬鹿な意見は関係ないといことで
早く元気になってほしいなぁ。


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