プロの魂

2011/11/26 08:39

上原ひろみ JAPAN TOUR 2100 THE TRIO PROJECT 大阪公演11月25日、NHKホール。コンサートは年に1回くらいしか行かないので、今年は上原ひろみと決めていた。

ドラムのサイモン フィリップス、ベースのアンソニー ジャクソンという熟達したプロとの組み合わせは調整されたCDで聴いても緊張感があるが、ライブ演奏にはそれを超えたすごみがある。

今回のワールドツアーは6月からロサンゼルスで始まっていて、もう十分成熟した無難な演奏ができるはずなのに、3人とも自分の限界スレスレであえてリスクを取る演奏をしていた。(上原ひろみはピアノの3弦のうち2弦を叩き切って、「こんなことは初めて」と、誇らしげに切れた弦を見せてくれた。)

実際、演奏が始まってしばらくはCD「VOICE」の再生+アドリブの感じの熟れた始まり方だったが、演奏が進み、特に後半に入ってからは集中度が増して、(前半に感じていた音の微妙なアンバランスさも、後半はビシッと直って心地よくなった。)どんどん引き込まれていく。最後は2,000人程度の観衆ほぼ全員が総立ちで聴いている状態になった。

こういう心を揺さぶる演奏というのは、プロが自分の技術の中で、安全運転していても感じられないものである。完成された音を求めるならCDを聴けばいいし、生で演奏する意味はない。ライブの本質はプロとしての限界を見せてもらえることにある。それなら多少の失敗でさえ、味のある出来事として、心に刻まれる。

比較するのはおこがましいが、我々の仕事も同じである。

報告書や企画書のプレゼンは何度も行うが、同じ資料を説明しても、決して同じ説明にはならない。その都度、新たな発見やアイデアがあるし、状況にも変化がある。顧客の反応も違う。プロとして、その場で全身全霊、限界を攻めているか、そういう集中力が顧客に対する説得力として伝播していく。

プロフェッショナルは常に限界を攻め続け、そこから新たなステージを開拓していく。上原ひろみ トリオ(?)の演奏はねそのことを自分に問いかけているように感じた。

来週も報告会2つあります。2,000人とはいいませんが、数十人参加するものもあります。未だ準備は十分とはいえません。上を見ていると完成するということはないのかもしれません。それでも、持てる力をぶつけてみることに意味がある。クライアントと深い共感は、それはそれで感動できるものだ。プロとして、いいライブを。締めてかかりましょう。


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