消費税増税の意味を考えてみる

2013/09/01 19:55

朝日放送の「朝まで生テレビ」で消費税について、日本の叡智が議論していたが、どうしても腑に落ちない。
消費税が増額されることの意味は、国=官僚が中小零細企業と金融資産をわずかしか持たない庶民に対する支配力を高めていくための手段として強化されていくということである。
大企業や金融資産の多い層は様々な優遇策の中で、低負担で高い社会サービスを受け取っている。
社会階層が下であるほど、自由度が低く、所得も正確に把握される構造になっており、経済規模も小さければ、社会からのリターンも少ない。(生活保障はちょっと別物)
既に国民所得の39%は税金や社会保障費と言われるが、消費税という間接税が加わったり、勤めている会社の負担している社会保障費や法人税を含めると、すでに最終負担者である給与所得層の負担割合は5割を越えているだろう。
つまり庶民の生活は半分以上官僚に支配されている。そしてその支配は増税によってさらに強化されようとしている。
このままでは国民が間接的な奴隷状態になる。
高い負担率の北欧はよく比較されるが、これは支払った税金が国民福祉に回り、低い所得でもそれほど不安に思うことはない。つまりお金が回っているから成立している。日本の場合は増税分は借金の返済に回し続けなければならないのだら、増税したからといって支払った人に回っていくわけではない。
日本は官僚が予算を振りまき続け、その権力を守るために税金という原資を増やしていこうとする。

これからは定年退職しても年金だけでは生活できなくなるだろう。しかし人間の平均寿命のうち1/4以上の期間を不労所得としての年金で賄うこと自体に無理がある。平均寿命が80歳だとしたら、72歳までは働くようになっていないと年金構造は持たないだろう。一方でIT化や巨大な生産力で単純労働が減少していくなか、高齢者が就労し続けられること自体が難しくなっている。
社会保障の増加→年金納付額と税金の増加→官僚による経済支配の強化。そういう循環の行き着き先は5%の支配層と95%の奴隷層という極端に二極化された社会ではないだろうか。
消費税増税によって、中小零細企業は益々赤字体質に陥る。
消費に対するブレーキもかかっていく。
大衆層全体の消費が拡大しなければ、景気の回復もない。富裕層の気まぐれ消費が増えただけで、景気回復とはしゃいでみても、それが社会を支える力にはならない。新興国の成長が経済成長の源泉といっても、それは国際的に通用する企業の話だし、就労機会は海外で生まれるだけである。
最近の若い人には浪費癖のあるひとが少なくなっているが、こういう社会の閉塞感を本能的に嗅ぎ取っているのではないだろうか。
政治がポヒュリズムによって支配される構造下で、政治に根本的な構造改革など出来るはずはない。
つまり日本社会はこのまま突き進むしかないので、制限された自由度の中で、ほとんどの企業は運営していくしかなくなる。無駄を削り、精度の高い投資をし、付加価値を生み出せる人材に絞り込んで企業を運営していくという基本的だが、ほとんどの企業にとっては過酷な試練がこれからずっと続いていくのだろう。能力のない支配層を現場が忍耐で支える構図は戦争をしていた頃の日本そのものだなぁと思う。問題はここまで財政赤字が拡大したことにあるのに、その責任は誰も取らない構造になっているのも戦時中そのままである。

 


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