事務所のある天満界隈は、この時期になると天神祭りの太鼓を練習する音が聞こえ出す。梅雨が明けて、台風一過いよいよ本格的な夏が訪れる。
祭りというのは基本的にそれを担う側のもので、野次馬は所詮野次馬と距離を置きたくなるものの、やはり心理的な高揚感を感じて、そわそわと出かけたくなる。そういう時の消費というのは金銭感覚が麻痺してしまうから、つまらないものを高い値段で買ってしまったりするが、かといって損をした気持ちになることもない。
その一方で、日常生活の中で、ほんの少しのことでも損をしたくないという感覚が働いていることがある。コンビニで105円のペットボトルの水がたまたま買った自販機で130円もすると、ほとんに取り返しのつなかないことをしたようながっかりした気分になる。こんな風に消費にはコスト感覚がゆるくなるハレ(晴れ)の消費と、逆に鋭くなるケ(褻:日常)の消費がある。
例えば牛丼チェーンの価格競争にハレはなく、ひたすらケのフィールドで戦っている。わすか20円の違いでも、少し遠い店へ出かけていったりする。
何か食べようかという少しでも特別感のあるときに牛丼チェーンには行かない。牛丼チェーン自体がそういう戦略を採っている。
まだ、同じチェーンでも居酒屋チェーンや回転寿司に行くときはまだ非日常である。それでもまだ日常を引っ張っているから、ある程度のコスト感覚は効いている。
祭りというのは日常の対極にあるものだから、主体的に参加している人のコスト感覚は吹っ飛ぶ。宵越しのお金は持たない状態になる。昔は、”ほとんどの日常”と祭りと冠婚葬祭しかなかったのだから、祭りの時のはじけようはきっとすごかっただろう。
頻度の高いケの場面で、コスト競争していくこともひとつのビジネスモデルだが、やはりハレの場で、お互いハッピーな気分で商売が成り立つ方が長続きする。
こういう場面は、B to Bの商談の場でも現れる。クライアントの気分がケの感覚に寄れば寄るほど、コストに厳しくなるのである。クライアントの心にハレの灯を点すにはどうすればいいか。そこらがプレゼンの技術(というか中身)ということになるが、クライアントの判断基準をコストから付加価値に転換させていくことと同じことである。”付加価値=非日常=祭り”なんである。祭りにはストーリーが必要である。心を躍らせる物語があるところに、”使って気持ちのいい消費”が生まれる。
2018/10/26 09:25
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