日本のマーケットは縮小しない

2011/09/24 05:57

厚労省が発表した2010年の日本人女性の平均寿命は86.39歳、男性は79.64歳となっている。今後、再生医療などが進歩していくと、ますます寿命の伸びる余地はあるが、むしろ問題なのは高齢者が経済的な自立ができなくなることによる生活の破綻である。国も60歳を超えた場合でも、本人が希望すれば就労を続けられるようにする法案を考えているらしい。

もっとも高齢者の定義が65歳からというのは平均寿命が70歳くらいの時の話らしいので、今の水準で考えれば75歳くらいまでは働き続けることが前提となっていたことになる。現在、厚労省の生産年齢人口の定義は15歳から64歳となっているが、子どもにしたところで大学進学率が50%を超えている現状で、この定義はまったく実態に合っていない。適切な生産年齢人口の設定は20歳から74歳として、それを前提とした社会保障の枠組みなどが考えられるべきだろう。

そういう前提であれば、生産年齢人口が大きく減少するということもないし、子どもの人口も減っていないことなる。そうすると日本経済復活の鍵は、社会保障の維持のために増税することではなく、高齢者であっても働き続けられる就労機会を増加させることで自立を促し、逆に若年層に対しては、バイトなどさせずにしっかり勉強させて、国際的な競争力を持った人材として育成することで、教育を中心とした需要を拡大してもらうことである。

若い頃に働いて、高齢者になったら働かなくていいというのはおかしい。元気なうちは働くべきだし、働き方の負荷が下がることと、その仕事の内容に見合った給与であれば、高齢者の就労が若者への搾取につながることもない。元気な60代、70代が暇をもてあましてうろうろしている社会は異様だ。コンビニでも、居酒屋でも働いているのはシニアだらけという方がよっぽど健全だと思う。シニアの強みを活かすマーケティングを考えていく必要がある。


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